最初の狩人、ゲールマン のバックアップ差分(No.8)
#contents *資料 [#k7183f2e] #region(関連テキスト) -葬送の刃 | 最初の狩人、ゲールマンが用いた「仕掛け武器」&br;すべての工房武器の原点となるマスターピースであり&br;その刃には、星に由来する希少な隕鉄が用いられている&br;ゲールマンは狩りを、弔いになぞらえていたのだろう&br;せめて安らかに眠り、二度と辛い悪夢に目覚めぬように| -ゲールマンの狩装束 | 最初の狩人、ゲールマンの狩装束&br;&br;まだ工房はなく、日常の衣服を調整したものであるが&br;これが後の狩装束の原型になっていった&br;&br;狩人が、速さを重視し、狩装束はごく軽いものとする傾向は&br;ゲールマンと、彼の戦闘スタイルが源流にあるのだろう| -マリアの狩装束 | ゲールマンに師事した最初の狩人たち&br;その1人、女狩人マリアの狩装束&br;カインハーストの意匠が見てとれる&br;不死の女王、その傍系にあたる彼女は&br;だがゲールマンを慕った。好奇の狂熱も知らぬままに| -古びた狩人証 | 老ゲールマンの時代に発行された狩人証&br;もはや意味もなく、ただ過ぎし日を懐かしむものだ&br;&br;それは古い者たちの特権であり、侵すべきものではない&br;そっとしておこう。真にその遺志を継ぐものでなければ| -3本目のへその緒(捨てられた古工房) | 全ての上位者は赤子を失い、そして求めている&br;故にこれは青ざめた月との邂逅をもたらし&br;それが狩人と、狩人の夢のはじまりとなったのだ| -ビルゲンワースのメモ | ローレンスたちの月の魔物。「青ざめた血」| #endregion #region(台詞) |やあ、君が新しい狩人かね&br;ようこそ、狩人の夢に。ただ一時とて、ここが君の「家」になる&br;私は……ゲールマン。君たち狩人の、助言者だ&br;今は何も分からないだろうが、難しく考えることはない&br;君は、ただ、獣を狩ればよい。それが、結局は君の目的にかなう&br;狩人とはそういうものだよ。直に慣れる…&br;この場所は、元々狩人の隠れ家だった&br;血によって、狩人の武器と、肉体を変質させる。狩人の業の工房だよ&br;もっとも、今は幾つかの器具は失われているがね&br;残っているものは、すべて自由に使うとよい&br;…君さえよければ、あの人形もね…| &br; |今宵は月も近い。獣狩りは、長い夜になるだろう&br;もし獣が君の手にあまり、大きく恐ろしいのならば、聖杯を求めるとよい&br;かつて多くの狩人がそうしたものだ&br;聖杯は神の墓を暴き、その血は狩人の糧になる&br;…聖体を拝領するのだ…| &br; |聖杯の多くは、神の墓そのものにあり…&br;地上に持ち帰られた聖杯は、ごく少ない&br;その行方も分からないものばかりだが…&br;懐かしい狩人たちの話が、今もそのままであれば&br;聖杯の1つは、谷あいの市街に祀られているはずだ&br;だが、今やそこは…&br;獣の病が蔓延し、棄てられ焼かれた廃墟、獣の街であると聞く&br;…狩人に相応しいじゃあないかね| &br; |医療教会、今やそう呼ばれる血の医療者たちは&br;古い狩人、ルドウイーク以来、狩人の庇護者でもあり&br;独自の工房を持ち、武器を作った&br;…彼らの多くは、もはや狩人を忘れているようだが&br;それでも、それは狩人の役に立つものだ&br;だから君にも、先人たちの遺言を伝えておこう&br;「オドン教会を上りたまえ」| &br; -人形 | ゲールマン様にお会いしましたか?&br;あの方は古い狩人、そして狩人の助言者です&br;今はもう曖昧で、お姿が見えることもありませんが…&br;それでも、この夢にいらっしゃるでしょう&br;…それが、あの方のお役目ですから…| -寝言 | ん…、うう…&br;…ああ、ローレンス…ひどく遅いじゃあないか…&br;…私はもう、とっくに、老いた役立たずだよ…| #br | …ああ、ローレンス…ウィレーム先生…誰か、助けてください…&br;誰でもいい、解放してください…&br;…私は夢に疲れました。もう、この夜に何も見えないのです…&br;…ああ、誰か…ううう、ああ…| -選択肢 |…狩人よ、君はよくやった。長い夜は、もう終わる&br;さあ、私の介錯に身を任せたまえ&br;君は死に、そして夢を忘れ、朝に目覚める&br;…解放されるのだ&br;この忌々しい、狩人の悪夢から…&br;&br;(介錯に身を任せる)&br;…さらばだ、優秀な狩人&br;血を恐れたまえよ&br;&br;(任せない)&br;なるほど、君も何かにのまれたか。狩りか、血か、それとも悪夢か?&br;まあ、どれでもよい&br;そういう者を始末するのも、助言者の役目というものだ…&br;…ゲールマンの狩りを知るがいい&br;&br;(負け)…君、死を受け入れたまえよ&br;夜を解放されるのだから…&br;&br;(撃破)&br;すべて、長い夜の夢だったよ…| #endregion *考察 [#cbc3d825] 狩人の夢の中で主人公に助言する右足が義足の老人。 彼の寝言からウィレーム、およびローレンスのことも知っているあたりビルゲンワースに近しい人物だった可能性があるが、学徒であったかどうかは不明。 夢の中で主人公を(曖昧なことを言いながらも)助言者としてアドバイスする立場でありながら、最終的には主人公に選択を迫り、ことの返答次第では敵対したりする複雑な人物。 しかし彼自身は狩人の夢に居続けること自体は寝言から察するに苦痛に感じており、行動と本心の間に矛盾が生じている。 狩人の夢で主人公に助言する右足が義足の老人。 彼の寝言からウィレームおよびローレンスの名前が出てくるため、ビルゲンワースに近しい人物であったことがわかるが、学徒であったかどうかは不明。 主人公に獣狩りの助言者とあいてアドバイスする立場にあるが、彼自身は夢に居続けることに苦痛を感じ泣いている。 #br **思想の違う「狩り」[#rda2594c] ゲームクリア直前で主人公に選択を迫る際、介錯を拒否したときに発する台詞''「君も何かにのまれたか。狩りか、血か、それとも悪夢か?」''から、彼自身は狩人が狩りに没頭することも、夢の中にいつまでも居座ることも、血に酔うことも望んでいない。 つまり彼は''&color(Red){このどれにも当てはまらない存在を主人公に望んでいる};''ということになる。&br; もともとゲールマンが考える獣狩りとは、彼の仕掛け武器「葬送の刃」という名前およびテキストからもわかるとおり、''狩りを弔いとして位置づけている。'' しかしゲールマンから始まった他工房である医療教会、火薬庫は、それぞれ探求と娯楽といった''弔いとは程遠い思想に変化していった''。 彼が提唱した''弔いとしての狩り''は誰にも継承されていない状況になっている。 終盤における選択肢で、介錯を拒否したときに発する台詞 「君も何かにのまれたか。狩りか、血か、それとも悪夢か?」 から、彼自身は狩人が狩りに没頭することも、夢の中にいつまでも居座ることも、血に酔うことも望んでいない。 つまり彼は''&color(Red){このどれにも当てはまらない存在を主人公に望んでいる};''ということになる。 #br -''弔いとしての狩り'' もともとゲールマンは彼の仕掛け武器「葬送の刃」という名前およびテキストからもわかるとおり、獣狩りを弔いとしている。 -''継承されなかった獣狩りの思想'' しかしゲールマンから始まった他工房である医療教会ならびに火薬庫はそれぞれ、探求と娯楽といった弔いではない思想に基づいた獣狩りを行っており、 後年ゲールマンの狩りの思想は継承されていない。 #region(火薬庫と教会の狩りの方向性) -火薬の狩人証 |複雑な機構構造と、爆発的な威力にこそ魅力を見た彼らは&br; それまでの工房とは一線を画す、奇妙な武器を生み出した&br;&br;今は亡き「火薬庫」は嘯いたものだ&br;「つまらないものは、それだけでよい武器ではあり得ない」| -教会の白装束 |彼らは、黒い予防の狩人たちの上位であり&br;実験に裏打ちされた、血の医療と、獣の病の専門家である&br;&br;彼らにとって医療とは、治療の業ではなく、探求の手段なのだ&br;病に触れることでしか、開けない知見があるものだ| #endregion #br #br **狩人の夢の目的 [#rcb0142f] 弔いの狩りを提唱し、彼が助言者として主人公に狩人としてのノウハウを与えるということは、狩人の夢の目的は&color(Red){''ゲールマンが考える正しい狩人を育てるため''};ということになる。 (ただし曖昧な物言いの助言で済ませているあたりは、彼の台詞「ただ獣を狩ればいい」「直に慣れる」という観点が反映されていると思われる) 彼が最終的に主人公に問いかけ選択させたのも、''主人公の意志を試すもの''だと考えられ、 夢から覚めることを望むということは弔いとしての狩りを主人公は受け継いだと見なし、 逆に拒否することはすなわち狩りの継続を望むことと見なされ、ゲールマンが考える弔いとしての狩りを継承できなかったとし、悪しき狩人として粛清対象と見なされる。&br; 事実として狩人の夢を経験したと思われる''鳥羽の狩人アイリーン''、''古狩人デュラ''はどちらもゲールマンのこの思想が反映された狩り行為を行っているが、実情この二名しか確認できない(うち一人は狩り自体をやめてしまっている)。 ゲールマンの弔いという思想を広め、正しく狩人たるものを忘れることなく維持していくためにこの状況は''継承者不足という危機的状況''であることが見て取れる。 狩りを弔いとして主人公に助言をするということは、&color(Red){''ゲールマンが考える正しい狩人を育てるため''};ということになる。 (曖昧な助言なのは、彼の台詞「ただ獣を狩ればいい」「直に慣れる」という観点が反映されていると思われる) 最終的に主人公に問いかけ選択させたのも、主人公の意志を試すものだと考えられる #br -''介錯を受け入れる'' 獣狩りを終えたことを自覚し、必要以上の獣狩りあるいは殺戮行為を行わないことの証明と見なされる。 -''介錯を拒否する'' 拒否することは狩りないしは夢などに執着していると見なし、悪しき狩人として粛清対象と見なされる。 -''ゲールマンに攻撃を加える'' 無闇な暴力行為として、当然ながら悪しき狩人と見なされる。 #br 事実として狩人の夢を経験したと思われる''鳥羽の狩人アイリーン''および''古狩人デュラ''は、どちらもゲールマンの思想が反映された狩り行為を行っている。 しかし物語中ではこの2名しか確認できていないうえ、うち1名は狩り自体をやめてしまっており、''継承者不足という危機的状況''であることが見て取れる。 主人公が狩人として招き入れられたのも、そういった背景が関係しているからだと考えられる。 #br #br ***アイリーンとデュラについて [#mde70824] 鳥羽の狩人として血に酔った狩人を狩る役目を担ったアイリーン。 旧市街の惨状に心痛め、獣狩りそのものを放棄したデュラ。 この二人は狩人の夢の存在を示唆する台詞を言っており、もともと狩人の夢にいた人物であると考えられる。 #region(台詞) -アイリーン |あたしはもう夢を見ない。&br;死んだらそれっきりだからね| |あんた、まだ夢を見るんだろう?&br;…人形ちゃんに、ババアがよろしくってね…| -デュラ(敗北時) |貴公、まだ夢を見るのだろう?&br;であれば、あそこでよく考えなおすことだな| #endregion アイリーンの仕掛け武器''「慈悲の刃」''という名前および狩人狩りの証「鴉の狩人証」で''「仲間を狩るに尊厳を忘れない」''と書かれている通り、彼女が担った役割の狩人狩りという同志殺しおいてもゲールマンの思想の片鱗が見て取れる。&br; 一方でデュラは獣狩り自体に疑問を持ってしまったことによって獣ではなく旧市街に侵入してきた狩人を狩ることを始めてしまっている。 そのことに対してテキストでは彼を''「ごく優しく、そして愚かな男だった」''としている。 旧市街で大量発生した獣を街ごと焼き捨てた教会およびそれに加担した狩人たち。彼が獣狩りを行う者たち全員を敵視するというのは、彼自身''獣は人となんら変わりないという認識''であるため、彼の行いは善意からなるものとして、ゲールマンの考える弔いの思想に沿ったものであると思われるが、同時に同族殺しであることに耐えきれなくなったが故に獣狩りをやめてしまったようにも見える。 #br -''対象が同じ狩人でも相手を想うアイリーン'' 仕掛け武器「慈悲の刃」という名前は勿論、彼女が担った狩人狩りの証「鴉の狩人証」には「仲間を狩るに尊厳を忘れない」と書かれており、ゲールマンの思想の片鱗が見て取れる -''獣が同じ人間だと気付き殺す対象を変えたデュラ'' 一方のデュラは獣狩り自体に疑問を持ってしまい、獣ではなく旧市街に侵入してきた狩人を狩りはじめる。 彼の台詞からもわかるとおり獣は人となんら変わりないという認識を持ったが故に旧市街の惨状に心を痛め、旧市街を守るようなった。 テキストに「ごく優しく、そして愚かな男だった」と書かれている通り、この行動は病にかかった者たちを想っているからこそであるが、同時に狩人を必要としているヤーナムの実情から目を背けているとも言える。 #br #br ***獣狩りの必要性 [#l443db3f] アイリーンが担った狩人狩りと、デュラの狩人狩りには明確な違いがある。&br; 「鳥羽の狩人」の名前の通り、鴉を彷彿とさせるデザインの装束にはテキストにて狩人狩りを''「鳥葬」''と位置付けているが、デュラの場合は完全なる怒りや憎しみによって見出した狩人狩りである。 そのためかは不明だが、デュラの仕掛け武器である「パイルハンマー」はゲールマンの思想ではない狩りに娯楽性を求めた工房「火薬庫」のものである。 デュラが相手するのは同業者である狩人であるが、アイリーンと違って獣狩りを行うこと自体に拒否感を抱いたデュラにとって狩人は''尊厳や弔いを向けるような存在ではない''ため仕掛け武器もそれ相応の、ある種の皮肉的な意味で選ばれたものの可能性がある。&br; そんなデュラが「愚かな男」と称される理由は、''獣狩りが必要不可欠な処置として現状どうすることもできない''からだと言える。 アイリーンが担った狩人狩りと、デュラの狩人狩りには明確な違いがあり、 狩人狩りを「鳥葬」と位置付けたアイリーンと違って、デュラは怒りや憎しみ、哀しみによって見出した狩人狩りである。 #br -''デュラが火薬庫製の仕掛け武器を使う意味'' デュラの仕掛け武器である「パイルハンマー」はゲールマンの思想ではない狩りに娯楽性を求めた工房「火薬庫」のものである。 アイリーンと違って獣狩りを行うこと自体に拒否感を抱いたデュラにとって狩人は''尊厳や弔いを向けるような存在ではない''。 ある種の皮肉的な意味で選ばれたものの可能性がある。 -''獣狩りが必要不可欠な現状'' デュラが「愚かな男」と称される理由は、獣狩りが必要不可欠な処置として現状どうすることもできないからだと言える。 当然のことながら蔓延する獣化によって一般市民が殺されることも多くなる。獣狩り自体をやめてしまってはヤーナムには獣しかいなくなる。 ''獣狩りを放棄することは今を生きている健康な一般人を見殺しにすることと同じであり、&color(Red){獣狩り自体残虐行為である一方で必要不可欠な処置でもある。};''&br; 獣狩りを放棄することは今を生きている健康な一般人を見殺しにすることと同じであり、獣狩り自体残虐行為である一方で必要不可欠な処置でもある。&br; #br 同時にこのデュラが抱いた心情ならびに行動というのは、そのまま''ゲールマンが掲げた弔いとして狩りということがいかに理解されづらく、精神的に辛いものである''かという表れでもあり、 それが今日まで続く弔いとしての狩人の人材不足に繋がっているとも。 #br #br **ローレンスとの関係 [#c4be0feb] ビルゲンワースの学徒であった可能性が高く、医療教会の初代教区長であったローレンスと顔見知りであったことが彼の寝言からわかり、 「ひどく遅いじゃないか」といった台詞からしても、ゲールマンとローレンスは思想的に懇意していると思われ、ローレンスの帰りを待つことが彼が狩人の夢に留まり続ける理由であるとも考えられるが、 同時にその状況を苦しみ「解放してください」とも語っている。 現実はローレンスは獣化し既に帰らぬ者となっているため、彼が待ち望んでいることは永遠に叶うことは無いという残酷な結末になっているということがわかる。&br; ローレンスと考えが共通しているのなら、狩人の夢が正しい狩人を輩出するために存続しているとした場合、ローレンスの考えもそれに近いものであったということになる。 前述したとおり獣狩りは必要不可欠な行為であり、そのうえでゲールマンが唱える弔いとしての狩りが必要であるのなら、''ローレンスの帰りによってゲールマンの役目、狩人の継承をする必要がなくなるということであり、'' ''すなわちローレンスの帰りをもってヤーナムから獣狩りをする必要性がなくなる(病自体が無くなる)ことの証明ということになる。'' ***ローレンスの目的 [#bd66057b] 医療教会の初代教区長であったローレンスはカレル文字「獣の抱擁」で書かれたとおり獣の病の制御をしようとした末に失敗したという。 このローレンスがやろうとした制御とは''作中の獣化する要因としてインタビュー等で語られている「内的衝突」''と相反する考えである。&br; 作品内の獣化のコンセプトについて、理性によって非人間的行為を抑えつけながら生きていくのが人の常であるのに対し、獣化とは理性と暴力的側面たる獣がせめぎ合ったすえに理性による抑えつけが出来なくなった状態のことをいう。 怒りや不安といった負の感情が理性で抑えつけられなくなった状態が獣であり、獣の病の本質である。 すなわちローレンスが目指した獣の病の制御とは、''制御可能となった時点で従来の暴力的な獣ではなくなり、獣の病が病として忌むべきものではなくなる。獣の病がヤーナムからなくなることを意味する。''&br; 獣の病が無くなった時、そこにはもはや狩人は必要なく、ゲールマンの役目も終わる。 ローレンスの帰りをもってゲールマンが夢から解放される理由は、病のある種の根絶する形になった時のことだと考えられる。 #br **友の約束と本音 [#o4986846] 教室棟におけるメモからローレンスと狩人の夢に登場する「月の魔物」の関係が示唆されていること。そしてそのローレンスと関りを持っていたと思われる台詞があるゲールマンを考えると、狩人の夢は二人が望んだものである可能性が高い。 しかしながらゲールマン自身は狩人の夢を「忌々しい」と表現したり「解放してください」と言ったりするなど、おおよそ彼が望んで夢の中に囚われているようには見えない。 ただし狩人の夢はゲールマンの思想(弔いとしての狩りを継承する)や助言者という立場であるところからしても''最初の狩人であるゲールマンでなければ成り立たない''。ゲームクリア直前の選択肢においても介錯を拒否した際主人公に刃を向けるときも「そういう者を始末するのも、助言者の役目というものだ」と語っており、''彼自身、助言者としての役目を全うしようとしている。''&br; 先述したローレンスの帰りを待っているような台詞からしても、彼が狩人の夢に絶望しつつも囚われ続ける理由はローレンスとの約束を果たすためだと考えられ、 しかし獣の病が蔓延してどれほどの月日が経っているのかは不明だが、少なくとも獣狩りが必要であり続ける限り、彼は死ぬことも出来ずに夢の中で新たな狩人になる人材を待ち続けているということになり、 その先行きが見えない不安(実際のところローレンスは帰らぬ人となったため、半永久的に夢の中で狩人を待つことになる)から、彼は台詞通り「私は夢に疲れました」と嘆くようになったと思われる。 彼の言動と行動に食い違いが生じているのは、友であるローレンスとの約束と希望の見えない状況の狭間にいるが故にと。 ***獣狩りに対する強い意志 [#j2267c24] 狩人の夢の中で狩りの在り方を助言するゲールマンの意志の固さを示すものとして考えられるのは、彼の右足が義足になっていること。 獣の病が蔓延しはじめ、狩人たちがヤーナムで獣狩りをしはじめた当初、獣の病は右足から這い上ってくるという迷信が流行したという。 #region(古狩人のズボン) |多くの狩人が獣を狩った、古い時代の装束&br;「獣血は右足から這いあがる」とは、当時の迷信であり&br;二重に巻かれたベルトはその名残であろう| |貧金の装飾具が特徴となる&br;当時、一部の狩人たちは&br;ある種の金属が獣血を祓うと信じていた&br;狩りの夜、人が何かに縋るのは当然のことだ| #endregion 多くの人が切羽詰まる獣の病の恐怖から逃れようとこの迷信を信じたことは想像するに難しくない。 ゲールマンが今なお夢の中で囚われ続けローレンスの帰りを待ち、絶望しながらも助言者たる役割を担い続ける状況を鑑みるに、ある種の強い忠誠心が垣間見える。 そのうえで役割として全うするために、絶対に獣化しないという決意のもと、迷信ですら信用して自ら右足を切断したとも解釈できる。 #br **漁村での出来事と現在の心境 [#i787b3b0] ゲールマンに師事したという女狩人マリアの装束のテキストから、漁村における虐殺事件にゲールマン自身も関わっていたとされ、それを「好奇の狂熱」とも表現している。 この表現からビルゲンワースが唱える脳に瞳を得た状態を確認するために起こした虐殺事件について、ゲールマン自身も思想的に同調していたと読み取れる。すなわち彼もまた好奇心と欲求から虐殺に参加したと。 そのことについてゲールマン自身の台詞で語られることはないが、狩人の悪夢における漁村を体験した後は人形の台詞によって曖昧ながらも語られる。 #region(人形の台詞) |ああ、狩人様。ゲールマン様の寝息が聞こえます&br;苦しそうないつもと違い、今宵は、とても穏やかなのです&br;…あの方に、僅かでも救いがあったのでしょうか…| #endregion 主人公によって悪夢の一端を終わらせた後に聴けるこの台詞から、ゲールマンの中では虐殺事件に関して罪の意識から文字通りの悪夢として長らく苦しんできたと読み取ることが出来る。 しかしながら「僅かでも救いがあったのでしょうか」と人形が言うようにゲールマンの中で漁村での一件すべてを水に流せるほどの救いが出来たのかどうかは疑問であり、 ビルゲンワースに所属していたとされるローレンスと思想的に懇意していたという経緯から考えると、''漁村での出来事に対する罰として今のゲールマンがいるという構図''にも読み取れる。 「呪いと海に底はなく」と語られたように、ゲールマンが犯した罪は、夢から解放される正真正銘の死を迎えない限り、罰は続く。 #br **肉体はどこへ消えたのか [#tcac20d6] メンシスの悪夢が交信の末に悪夢の上位者(「感応する精神」「呼ぶものの声に応える」)と通じたことで形成を成し遂げたことに対し、狩人の夢は3本目のへその緒で夢の形成に至ったということが読み取れる。 (メンシスの悪夢自体はメルゴーとの邂逅とは別である可能性がある) | 全ての上位者は赤子を失い、そして求めている&br;故にこれはメルゴーとの邂逅をもたらし&br;それがメンシスに、出来損ないの脳みそを与えたのだ&br;(3本目のへその緒)| #br | 悪夢の上位者とは、いわば感応する精神であり&br;故に呼ぶ者の声に応えることも多い&br;(カレル文字「月」)| 夢の形成が夢を望む者の願いや思想が悪夢の上位者によって形どられるものなら、狩人の夢も同様に3本目のへその緒で上位者の赤子となった"誰か"の意志によって形成された、つまり意図して作り上げた夢ということになる。 もし狩人の夢の3本目のへその緒を使用した"誰か"がゲールマンならば、 祭壇に3本目のへその緒が今尚置かれている以上、上位者化した姿の彼の肉体は朽ち、意志だけは夢の中に漂っている状態とも考えられる。 *コメント [#d798b09f] #pcomment(,reply,10) &color(Red){''&size(20){※できるだけ改行は控えましょう。(不必要にEnterで行変えない!)};''}; &color(Red){''&size(20){※ツリー化を心がけましょう。(レス書き込む前に(&attachref(画像置場/radio.jpg,nolink,ラジオボタン);)をチェック!)};''}; #br |